プロジェクトはなぜコケるのか? <2>

前回の記事にて御紹介したURLには、
「実は、会社というのは潰れるようにできているんですね。」とあります。
会社と言うものは、たとえ売り上げが立たなくても、お金は出ていくものです。
変動費はともかく、人件費はもちろん、オフィスの賃料や
光熱費といった固定費はゼロには出来ないものです。
思うように売上が立たず、資金繰りがショートした時点で「詰み」となります。
勿論、そうならないために、経営者は様々な策を打つわけです。
そしてそれらの策が、(個別に見れば失敗もあるでしょうが、)
総合的に上手く作用すれば、潰れることを回避出来ます。
そして回避し続けた結果としてのみ、会社は会社として維持されます。
ものすごく当たり前のことなのですが、
サラリーマンをしていると、ともすれば忘れてしまいがちなことです。
毎朝、「会社に行けばそこに会社が在る」というのは、
上記のようなプロセスが上手く回っている結果でしかないんですね。
そしてそれは、社内・社外の何らかの要因によって、いつ狂ってもおかしくなないんです。
さて、前置きが長くなりましたが、PJについても同じことが言えると思います。
PJだって、ほっておけばコケるに決まっているものなんですね。
そもそもPJがコケるとはどういう状態でしょうか?
納期が延びた時? 赤字になった時?
様々な状態を「コケた」と呼ぶことが可能ですが、一応ここでは
「PJが予定からズレたところに着地し、
そのズレが顧客ないし自社の許容範囲を超えた状態。」としておきます。
(他に明確な定義をお持ちの方は、御意見をお寄せ下さい。きっと色々あると思います。)
そこで次に、「その”予定”とやらはどのようにして決められたのか?」が重要になります。
見積もりの手法は、色々と考案されていますが、いずれも
その時点で明らかになっている情報」を元にしています。
ですが、PJ進行中に「予定を立てた時点では存在していなかた、予期していなかった要因」
なんていくらでも発生し得るわけです。
「PJメンバーが風邪をこじらせて長期離脱」だとか
「無茶な仕様変更要求」だとか、「予定が狂う要因」なんてものは
その気になれば無限に考え出せます。
そんなことをあれこれ考えても意味は無いので、
PJの予定策定時にはそんなことは考えられていないのが普通です。
少しぐらいのバッファは取ってあるのでしょうけど。
であれば、PJの予定というのは狂って当たり前なんですね。
狂う都度、修正策を施し、場合によっては着地点自体を変更するなどした結果、
最終的に目論見通りの利益を上げ、顧客の要求事項も満たせた場合にのみ
初めて「PJは成功した」と言えるわけです。
修正策が思い通りに作用しなければ、やはりコケるわけです。
この構図は、会社そのものが維持される構図とそっくりですね。
明かに違うのは、「有期性」の有無ぐらいでしょうか。
以上が、前回の記事で「PJとはコケるもの」だとした理由です。
コケさせないための策が総合的に上手く機能した場合にのみ、
コケずに済むと言うだけのことなのです。
結局、「予定が狂う要因」が発生する都度、うまく捌いていくしかないわけで、
最初に立てた予定は「基準とすべき目安」でしかないわけです。
ところで、「目安として活用すること」を念頭に置いたPJ見積手法って、あるのでしょうか。
私が知る限り、各種のPJ見積手法とは「今ある情報をどう整理するか」という視点だけで
考案・工夫されている気がします。
PJが走りだしてからのことは、PM個人の手腕に依存しきっている気がするのですが、
どうでしょうか・・・?

プロジェクトはなぜコケるのか? <1>

結論:プロジェクトとはコケるものだから。
以上、終わり。
・・・というのは冗談で、後日ちゃんと理由も書きます。
ちなみに、私がこの結論を出すに至ったヒントは、こちらのサイトにありました。

http://www.weekly-net.co.jp/rensai/110/293.php
上記URLは、物流ウィークリーという物流業界向けの情報サイトなのですが、
八起会」を主宰する野口誠一氏がコラムを連載されています。
その中で紹介されている、公認会計士の小松隆雄氏の言葉から冒頭の結論を閃きました。
上記URLの回だけでなく、一連のコラム全てが大変ためになる濃い内容ですので、
興味のある方はぜひお読みください。

株式会社エーワン精密 第20期定時株主総会 2010/09/25

昨年に引き続き、エーワン精密の株主総会に行ってまいりました。
昨年(第19期)は、世界同時不況の影響をまともに受けたため、
売上高も経常利益も第18期より大幅に落ち込みました。
それでもかなり良い数字(経常利益率23.3%)だったのですが、
金融商品の評価損(特別損失)のため、ほとんど利益が吹っ飛びました。
第20期は、売上高・経常利益は前期とほぼ同水準で
製造業全体がまだまだ不況の影響から立ち直っていないようですが、
大きな特別損失が無いため、ちゃんと当期純利益が出ています。
1株当たりの配当は6,000円です。
(私は、2008年11月頃に245,000円程度で1株だけ買っています。)
決算書の分析は次回に譲るとして、総会の様子をお伝えします。
ざっくりまとめますと、だいたい昨年とおなじシャンシャン総会で、
質問が出たのは二人だけでした。
   【A氏の質問】(なんと浜松から来られた方です。)
◆第3号案(監査役会の新設)、第4号議案(新監査役の選任)、
 第5号議案(会計監査人の選任)だが、
 そんなことは上場企業ならやっていて当たり前ではないのか。
 なぜ今までやっていなかったのか。
 A:これまでは、大会社ではないので強制ではなかった。
  この会社規模、100名3部門では十分な監査体制だった。
  今回変える理由は、会社法が変わり、
  上場企業は大会社扱いになったから。
 ※柴田が帰宅後に調べたところ、議案の中に度々出てくる
  「JASDAQ等における企業行動規範に関する規則の特例」が
  今年の年6月30日から施行されています。
  これにより「監査役会の設置」「会計監査人の設置」が求められています。
  これまでのエーワン精密には「監査役」が2人いるだけでしたが、
  会社法第335条により、監査役会は3名以上であることが求められます。
  
  私の聞き違いでなければ、林社長は「会社法が変わったこと」を
  理由としていましたが、会社法自体は変わっていません。
  JASDAQ(大阪証券取引所)の基準が厳しくなっただけです。
  エーワン精密は「公開会社だが大会社ではない」ため、
  会社法上は監査役会の設置も会計監査人の選任も、任意です。
◆個別注記表にある「退職給付引当金の計上基準」だが、
 社内留保なのか何らかの基金に加盟しているのか、詳しい説明が無い。
 A:財務諸表の注記はこれで十分と判断している。
  足りない部分は質疑があった場合にお答えする。
 
  社内留保が十分にあるので、退職金は全て自己資金から出している。
  外部への積み立てで、運用の巧拙によってリスクが発生するものはやめた。
  一部、金型工業厚生年金基金には加入している。
◆大株主構成表で、社員持株会が2.56%となっているが、
 少なすぎるのではないか。
 A:毎月の給与から天引きして積み立て、
  1株分に達したら個人のものとなるようにしている。
  
   【B氏の質問】
◆先ほどの説明では、1株に達した従業員持株会の株は
 個人のものになるとのことだったが、それらも含めると、
 社員の持株比率はトータルでどれぐらいになるのか。
 A:およそ、10%弱です。
 ※細かい正確な数値までは、B氏は求めませんでした。
  役員の後ろには多くの資料を抱えたスタッフが控えていたので、
  時間さえかければ正確な値を算出することも出来たのだと思われます。
質問は以上で全てです。この後、すべての議案が拍手で承認されて終了しました。
およそ45分ほどでした。
残りの議案を紹介します。
 第1号議案:決算書の承認
 第2号議案:剰余金処分(株主への配当など)
 第6号議案:監査役の報酬改定(上限を1,000万円から2,000万円へ改定)
 第7号議案:役員賞与の承認(4名で総額579万円)
なお、お土産は昨年と同じ、地元の銘菓「武蔵野日誌」でした。

月刊企業実務 2010年8月号(No.679) 感想

こんばんは。アイソス8月号の感想を書き終えないうちに
9月号が届いてしまってやや焦り気味の柴田です。
とりあえず9月号は見なかったことにして、
今回は月刊企業実務8月号(No.679)の感想を書きます。
(たぶんこれも数日中に9月号が届きます・・・)
取り上げる記事は、連載企画である
<管理部門の「業務成果を改善」するマネジメント術 第11回> P86~88
です。
装飾品商社であるA社は、創業以来、受注拡大を最優先し、
時流にのって急成長。 しかし、その反動が・・・
というお話です。
急成長した企業において、組織(管理)体制がその規模にマッチせず、
いたるところに無駄が発生してしまうのはよくあることです。
記事内では、「(A社における)その最たるものが在庫管理」としています。
これまで、倉庫の(=在庫の)管理は営業部が担当し、
仕入先との価格交渉や入荷(検収)、出荷といった手続きも
各営業マンが営業業務の片手間に行っていました。
その結果、以下のような弊害が出てきました。
(1)入出荷の記録忘れが多いため、在庫数のデータと実態が乖離し、納期遅れが頻発
(2)受注したのとは違う商品を顧客に届けてしまう出荷ミスが頻発
(3)各営業マンがバラバラに仕入をしていたため、同じ仕入れ先に対しても、
 スケールメリットを活かした価格交渉が出来ない
(4)万が一営業マンが架空発注をしたとしても、チェック出来ない
(5)所定の伝票に依らない口頭の仕入発注もあり、経理側で支払予定額を把握できない
当然、顧客からのクレームが相次ぐようになりました。
実際、社長が久しぶりに倉庫を訪れてみると、
不良在庫が溜まり、足の踏み場もないほど乱雑に段ボールが積み上げられ、
整然と整理整頓された以前の姿とは様変わりしていたそうです。
そこで社長は、いままで売上一辺倒で管理部門を軽視していた姿勢を改め
物流課」と「購買課」を新設することで上述の問題を解決しました。
(いかにも管理部門のための雑誌だなぁ。)
・・・というのが記事前半の要旨です。
(後半では、実際にどう物流課と購買課を機能させていったのかが書かれています。)
ここまで読んで、私は非常に違和感を覚えました。
「この会社には”営業部長“はいないのか!?」ということです。
もし社長が営業部長を兼任していたとしたら、事態が悪化する前に
気付いていたはずでしょうから、おそらく独立したポストだと思われます。
上述の問題点の、少なくとも(1)・(2)・(3)の3つについては、
「営業部員がやっていることで、(別の、あるいは全体の)営業部員が被害を受けている。」
という構図が当てはまります。
つまり、原因と結果が「営業部」内で完結している事象だ、ということです。
そのような問題を解決するために社長が出てこなくてはいけないのだとしたら、
営業部長は一体何のためにいるのでしょう?
通常、多くの会社では、営業成績を上げることが営業部長に課せられた至上命題です。
その為には、受注拡大を図る一方、言うまでも無く”ロスを抑える”こともまた重要です。
顧客からのクレームの情報は、当然営業部長のところにも届くことでしょう。
そしてその原因が「営業部員の在庫管理の甘さ」にあったのだとしたら、
その解決に真っ先に乗り出さなくてはいけないのは、営業部長その人のはずです。
解決の手段は何でもいいんです。
「部下達に、入出荷帳の迅速かつ正確な記載を徹底させる。」でもいいですし、
「在庫管理を専門とする新部署の設置を社長に訴える。」でも構いません。
別に、営業部内だけで解決しなくてはいけないなんてルールはありませんから。
大事なのは、そういった課題解決行為に営業部長自身が主体的に乗り出すことです。
営業部員がやったことで他の営業部員が困っているのに
当の本人達(およびその長)が問題を放置している状態なんて、
営業部外の人達から見たら馬鹿みたいじゃないですか。
(3)については、営業マン一人一人は大して問題だとも思っていないかもしれません。
(問題の存在そのものに気付いていない可能性すらあります。)
しかし、営業部全体を見渡し、その成績に責任を持つ営業部長にとっては、
間違いなく「自分事」のはずです。
A社が抱える本当の問題は、決して、
「規模に見合った管理体制が整っていない」ことではありません。
ズバリ、
「社長の分身として各部署を管理監督する中間管理職“が育っていない」ことです。
そのことを改善しない限り、各部署内で起こる問題に対し、
この先もいちいち社長が乗り出して解決しなくてはいけません。
A社が今後も継続的に成長を続けるのであれば、
(そのこと自体は喜ばしいことのはずなのに、)
いずれ破綻することは自明です。
社長一人の目と手が届く範囲は限られていますから。
なお、(4)と(5)の問題については、営業部以外の部署も絡んだ事象ですので、
営業部長を含め、営業部内の人間にとっては「それが問題である」という
認識すらなくても仕方がありません。
そういった問題を解決するために、部長より上の人間
(A社の場合は社長)が乗り出してくることは普通の事だと思います。

なぜうまくいっているのか?

前回の次回予告に反して、ISO認証を含む経営全般のお話です。
(予告した分も鋭意執筆中でございます。)
これまでも度々、
「ISO式のマネジメントシステムを導入し、認証を得ようと考えることも経営判断の一つ。
 その結果として会社の利益に貢献にしていなければ、やる意味はない。
 マネジメントシステムが有効か否かは、究極的には企業の業績によって判断される。」
という主張を書いてきました。
企業の業績というのは、人間の健康に似ています。
高齢でも矍鑠(かくしゃく)としている人を見れば、
「きっと普段から健康的な生活習慣を実践しているのだろう」ということが推し量れます。
しかし、その人の生活習慣の一つ一つをつぶさに分析すれば、その全てが「健康的」だとは限りません。
たぶんそんな人はいないでしょうし、何が健康的であるかの判断も、医学の進歩によって変わります。
あくまで、「総合的に見て」健康的だと言えるだけです。
経営においても、どんなに業績のいい企業であっても、全ての経営判断が適切だったとは限りません。
名経営者と言われる人でも、時にはちょっとズレた判断をすることもあったはずです。
結果(最終的なアウトプット)とは、多くの要因が複雑に絡み合って生み出されるものなので、
安易に「あの生活習慣(経営手法)を真似すれば長生き(業績向上)できる」と言えません。
マネジメントシステム(経営の仕組み)の目的が企業の「利益と発展」であるならば
その成果の指標が企業の”中長期的な業績”以外に無いことは自明の理ですが、
業績が良いからと言って、その理由がマネジメントシステムにあるとは限らないわけです。
ただ単に、外的要因によって自社に有利な風が吹いているだけかもしれません。
この↓サイトで連載されている八起会の記事では、
(http://www.weekly-net.co.jp/rensai/110/)
バブル期の好調を実力と勘違いして、結局痛い目を見た企業の例が数多く載っています。
ところが、ISO式のマネジメントシステムでは、(9001であれ27001であれ、)
問題が起きた際の是正処置などは明確に要求されているものの、
とくに問題が起きていない場合に何かすることを要求されてはいません。
(ISOの要求事項とは、基本的に、減点法の視点で作られている気がします。)
いくら業績が好調でも、
「マネジメントシステム自体は実はあまり機能しておらず、
 全く別の要因のおかげで儲かっている。」
という可能性も頭の隅に置いてマネジメントレビューを行わないと、
マネジメントシステムの有効性を継続的に改善することにも、
最悪、企業の存続にも支障が出てしまいます。

元本返済猶予法

亀井金融相が打ち出している、通称「モラトリアム法案」ですが、
はたしてどこまで効果があるでしょうか?
すでに以前から、金融庁から銀行へ、リスケの申し出にちゃんと対応するよう、通達は出ています。
今回の法案も強制力は無く、努力義務を課すだけだそうですから、
通達のパワーアップ版」ぐらいの位置づけになるのでしょう。
リスケに応じるには、銀行にもメリットが無いといけません。
「今のままでは倒産してしまい、貸した金を取りっぱぐれるが、
 リスケに応じれば、その間に経営改善し、長い目で見ればちゃんと回収出来る。」
そういう現実的な計画がなければ、誰がリスケに応じるでしょうか。
貸す側の立場になってみれば、子供でも分かることです。
そして、リスケを必要としている企業であれば、とっくに経営改善案を作成し、
銀行に提出してリスケ交渉をしているはずです。
今回の法案によりメリットを享受できるのは、
「十分現実的な経営改善案を立てているにもかかわらず、
 頭の固い銀行に相手にしてもらえなかった企業」

に限定されていると思います。
これまでリスケを考えていなかったのに、この法案を受けて
「じゃあうちもリスケしてもらおうかな?」
などと考える企業があるとは思えません。
応じる銀行だって、「取りっぱぐれるよりはマシか」という認識でしょうし、
今後の取引にも差し支えるでしょうから、
リスケしないで済めばそれに越したことはありません。
おそらく、法案が可決したとしても、
「中小企業がこぞってリスケの申し出をしに銀行を訪れる」
ようなことはないはずです。
効果はごく限定的なものになると思います。
そして、延命してもらえた企業が結局破たんしたとしても、
亀井さんが責任をとることは無いでしょう。(コレハマチガイナイ!)
そもそも、リスケや救済法案なんて、しょせんは他人の胸先三寸。
そんなものはアテにならないからこそ、常に経営改善を心がけるのが経営者の仕事のはずです。
それが出来なければ、可哀想ですが退場していただくしかありません。
それが市場経済と言うものではないでしょうか。
銀行が特定の企業を選り好みして融資しているのならともかく、
基本的には、日本中の企業が同じ経済環境の下にあるはずです。
同じ条件下で潰れる企業と生き残る企業が分かれるのであれば、
それは潰れるべくして潰れたのであり、生き残るべくして生き残ったということなのでしょう。

経理・会計とISO

本屋の財務・会計コーナーに行くと、よく「経営者のための決算書の読み方」みたいな本があります。
つまり、そういう本でも読んで勉強しないと、なかなか決算書を理解できないということです。
(簿記を齧ったことのある人なら分かると思いますが、複式簿記の考え方はちょっと特殊なので。)
その一方で、「決算書は経営の役に立たない!」という内容の本も見かけます。
財務・会計コンサルタントのブログなどを見ると、その手の記事が多く見つかります。
センセーショナルな印象を受けますが、考えてみれば当然のことなんです。
税法とは、あくまで税金を取るための計算式であり、
そもそも企業活動を採点することを目的としていませんから。
その結果として作られる決算書に、企業の実態が反映されているなんて世迷い言を信じてはいけません。
よく、「決算書は企業の通信簿」と言いますが、ほぼ嘘です。
(いったい誰が言い出したんでしょうね?
 日本中の企業の業績がほぼ同じ基準で計算されるので、比較分析には役立つかもしれませんが、
 その企業自身に最適化されたものではないはずです。)
ところが、社内の経理社員や税理士までがそう信じているケースがあるため、問題になります。
経営者の感覚と乖離した決算書が出来あがるのは仕方ないし、
税金を正しく計算するのは大事なことです。
でもそこで終わってしまってはいけません。
ちゃんと経営の実態を表し、戦略立案に役立つような資料も作らねばなりません。
しかし、「税法にしたがって正しく計算をすること」だけが自分の仕事だと思っている経理社員や税理士は、
本当に経営に役立つ資料を経営者に提出しようなどと夢にも思いません。
そういう資料を作れと経営者に言われてもチンプンカンプンで、話がかみ合うことはないでしょう。
そういう”計算屋さん”は、税務署からお給料を貰ったらいいと思いますYO!
これは、情報システムを滞りなく運用することしか考えておらず、
エンドユーザーの利便性や投資効果、今後のIT投資戦略などを考えようとしない情報システム部員にもあてはまります。
つまり、「仕事のための仕事」になってしまっているんですね。
平社員ならまだそれでいいんですけど、課長部長クラスがそれではいけません。
何のための仕事なのか」をしっかり認識しないといけません。
さて本題に入りますが、まったく同じことがISOにも言えるんですね。
よく、「ISOを取って書類の量が増えた」とか、「ISOのための仕事になっている」という声を聞きますが、
別に今に始まったことではないということに気付いたのです。
同じ構図が、ISOが広まるずっと以前から、経理部を舞台に繰り返されてきていたのですね。
人間って進歩しないなぁ・・・ (溜息)
この「仕事のための仕事」というのは、とかく間接部門の社員が陥りやすい落とし穴です。
何のための仕事なのかを考えずとも、とりあえず目先の「作業」をしていれば、
仕事をした気になれますから。
(正直、私も人のことをあまり言えません。。。  社長ゴメンナサイ。)
ISOを取得しようとする企業が、「ISO推進室」や「ISO事務局」なる組織を新設する場合、
間接部門を中心に人員を集めるケースが多くは無いでしょうか。
もしその人員が「仕事のための仕事」病に罹っていたとしたら、
その時点でマネジメントシステムの形骸化は約束されたようなものです。
もちろん、そのような人員を任命した経営者に責任があることは
民明書房級に言うまでも無い。

見えないものは分からない。 ~可視化と情報公開~

ちょっとネガチブなタイトルと思われるかもしれませんが、
その通りちょっとネガチブな内容です。
つくづく思うのですが、人間なんてそんなに賢いもんじゃありませんね。
私自身もそうですし、私なんかよりずっと仕事ができう人間でもそうです。
ほとんどの人間は、「見えているものしか分からない」んです。
目に見えてないものは存在し無いも同じで、たいがいは思慮の外です。
なんとなくその”気配”に気づくことはありますが、所詮は気配どまり。
その”存在”の、「実態」、「大きさ」、「存在意義」などを、”実感”することは滅多にないでしょう。
そして、この”実感”こそが大事なのであり、
だからこそ、”実感”を喚起するために「可視化」が重要なんです。
人は、”実感”しなければ、いくら頭で分かっていてもアクションを起こさないからです。
使われていない会議室の電気がつけっぱなしだった場合、
経費を払う側である経営者にとっては、さぞ苦々しいことでしょう。
そこで、「無駄遣いは止めましょう」と呼びかけたとします。
一般論としてそれが正しいことは子供にも分かります。
しかし、それがお金にしていくらの無駄なのか、数字で見せられないことには
「もったいない!」という実感はなかなか湧かないものです。
もったいないと思ってなければ、消し忘れも減らないでしょうし、
注意されたとしても、「なんだ、そんな細かいこと・・・」と内心反発することでしょう。
無理からぬことだと思います。
大抵、電気代に限らず、オフィスの賃料だとかパソコンのリース代だとか、
そんな経費は経理部と経営者しかしりません。
その手の情報を、積極的に一般社員にも公開している会社というのはあまり聞きません。
見えている景色が違えば、その景色を見て感じることも違うはずです。
これはもう当然のことです。
同じ意識を共有したければ、同じ情報を可視化して共有するしかないんです。
そうしない限り、「うちの社員は無駄遣いが多くて困る・・・」という経営者の愚痴は、
未来永劫止むことは無いでしょう。
自分にだけ見えていても、積極的に可視化&情報公開していなければ共有されません。
同じ実感を持つよう要求する方が無理な話です。
だからこそ、経営者には
「社員達には何が見えてないのか?(何を見せていないのか?)」
が見えていなくてはいけないと思います。

「失敗してください。」

ソフトオンデマンドを作り上げ、現在は農業改革に挑戦している
高橋がなり社長の動画です。
熱いです。
http://www.kenja.tv/index.php?c=kenjadetail&m=index&kaiinid=6273
高橋社長自身、テリー伊藤氏の元を離れてからSODで成功するまでに、
2度、事業に失敗しています。
そんな社長が言うのだから説得力があります。
やって失敗するのは、やれるようになるために避けては通れない。
そもそも、何かをやったら、成功するか失敗するかの二つに一つなんです。
やらないで失敗することが、一番恥ずかしい。
かくいう私も、今日「やらないでいたが故の失敗」を犯してしまいました。
日々反省の種は尽きません。
ブルーハーツを聞いて寝ます。そして明日も頑張ります。