なぜうまくいっているのか?

前回の次回予告に反して、ISO認証を含む経営全般のお話です。
(予告した分も鋭意執筆中でございます。)
これまでも度々、
「ISO式のマネジメントシステムを導入し、認証を得ようと考えることも経営判断の一つ。
 その結果として会社の利益に貢献にしていなければ、やる意味はない。
 マネジメントシステムが有効か否かは、究極的には企業の業績によって判断される。」
という主張を書いてきました。
企業の業績というのは、人間の健康に似ています。
高齢でも矍鑠(かくしゃく)としている人を見れば、
「きっと普段から健康的な生活習慣を実践しているのだろう」ということが推し量れます。
しかし、その人の生活習慣の一つ一つをつぶさに分析すれば、その全てが「健康的」だとは限りません。
たぶんそんな人はいないでしょうし、何が健康的であるかの判断も、医学の進歩によって変わります。
あくまで、「総合的に見て」健康的だと言えるだけです。
経営においても、どんなに業績のいい企業であっても、全ての経営判断が適切だったとは限りません。
名経営者と言われる人でも、時にはちょっとズレた判断をすることもあったはずです。
結果(最終的なアウトプット)とは、多くの要因が複雑に絡み合って生み出されるものなので、
安易に「あの生活習慣(経営手法)を真似すれば長生き(業績向上)できる」と言えません。
マネジメントシステム(経営の仕組み)の目的が企業の「利益と発展」であるならば
その成果の指標が企業の”中長期的な業績”以外に無いことは自明の理ですが、
業績が良いからと言って、その理由がマネジメントシステムにあるとは限らないわけです。
ただ単に、外的要因によって自社に有利な風が吹いているだけかもしれません。
この↓サイトで連載されている八起会の記事では、
(http://www.weekly-net.co.jp/rensai/110/)
バブル期の好調を実力と勘違いして、結局痛い目を見た企業の例が数多く載っています。
ところが、ISO式のマネジメントシステムでは、(9001であれ27001であれ、)
問題が起きた際の是正処置などは明確に要求されているものの、
とくに問題が起きていない場合に何かすることを要求されてはいません。
(ISOの要求事項とは、基本的に、減点法の視点で作られている気がします。)
いくら業績が好調でも、
「マネジメントシステム自体は実はあまり機能しておらず、
 全く別の要因のおかげで儲かっている。」
という可能性も頭の隅に置いてマネジメントレビューを行わないと、
マネジメントシステムの有効性を継続的に改善することにも、
最悪、企業の存続にも支障が出てしまいます。