「マネジメントシステム」の正体 <2>

前回の続きで、マネジメントシステムの「下層」と「上層」にあるマネジメントシステムについて、
もう少し詳しく解説します。
まず、企業が目的αを実現するために、その実現手段としてのシステムをa導入したとします。
システムaが有効かどうかを判断するには、
「システムaを導入した結果、目的αがどれだけ果たせたか」を調べる以外にありません。
それ以外のことを調べても無意味です。
これは別にISOが標榜するマネジメントシステムに限ったことではなく、一般論として通用するはずです。
もし目的を十分に果たせていなかったら、それはシステムaのどこかに不備があったということなので、
それを探し当てて改善しないといけません。
そういった取り組みは、システムa自身より上位の枠組みです。
これをシステムAと呼ぶことにします。
目的αをより高度に実現するために、システムaを継続的に改善するシステム。
それがシステムAです。
そして、システムAより上位の概念もまた、存在します。
「そもそも、目的αを実現しなくていけないのは、何のためなのか?」ということです。
システムAもまた、より上位の目的を実現するための実現手段としてのシステムなのです。
さて、このままだと無限に「より上位の目的」が積み上がってしまいそうですが、
そういうわけではありません。
企業には「成長と発展」という"至高の目的"があるはずだからです。
もしかしたら異論もあるかもしれませんが、
一企業としては、それ以上の目的を持たないものとします。
そして、その実現度合いは、
「売上高」、「リピーター率」、「従業員の数」、「従業員満足度」などの指標に現れます。
(もちろん、他にもあるでしょう。)
最上位の目的の実現度合いを測る指標は、"絶対的"なモノである必要があると思います。
なぜなら、それがあらゆる下位システムの"拠り所"となるからです。
これがもし、「顧客満足度アンケートの結果」のような相対的なものだとすると、
社内のあらゆるシステムが相対化してしまいます。
「顧客満足度のアンケートの結果」が、
顧客の満足度を本当に表しているのかどうかを担保するものが無くなってしまうからです。
「売上高」や「リピーター率」のような客観的かつ絶対的なものであれば、拠り所とするに十分です。
もしアンケート結果が良くてもそれらの数字が落ちていれば、
それはアンケートの手法が間違っていることの証明になり、改善のきっかけとなりますから。
寝酒が回ってきたのでこの辺で・・・    →to be continued.

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    柴田さん
    いつもありがとうございます。
    寄らせていただきました。
    以前からISOに凄く興味ありなんですが、敷居が高いイメージがあって・・・
    勉強になりました。

  • SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメント有難うございます。
    ISOの規格条文は、とにかくあらゆる業種業態に適用可能なように、普遍的かつ無個性な書き方をしています。
    その分、具体的な業務にあてはめようとすると訳が分からなくなってしまう場合もあります。
    本当は、ごく当たり前のことを言っているにすぎないのですが・・・
    ISOについての議論をしていると、難解な条文を無駄に深読みしてしまい、
    解釈をめぐって不毛な言葉遊びに陥ることがあります。
    そんな時は「それをすることで企業の成長に寄与するのか?」
    という視点に立ちかえって下さい。
    するならやるべし、しないならしなくていいんです。 それだけのことです。
    本文内でも述べておりますが、企業内のあらゆるシステムは、
    そのシステムが導入された目的を果たすことが唯一のアイデンティティーであり、
    上位の目的を辿っていけば、つまるところ「企業の成長」に行きつくはずですから。
    そこに辿りつかない活動は無意味です。
    その視点がないと、審査のためのマネジメントシステム、仕事のための仕事になってしまいます。
    逆を言えば、企業の成長に寄与するシステムであるならば、
    別にISOじゃなくなって何だっていいんですよ。
    かくいう私も、自社のマネジメントシステムを現場の業務にマッチした有効なモノにすべく
    、日々模索している修行の身です・・・

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