2010年7月号のアイソスの特集は「三代目事務局の時代」でした。
私の2009年3月22日の記事
を見ていただければ分かる通り、私は「ISO事務局」といった制度・体制に懐疑的です。
(別に要求事項ではないのですが、なぜか多くの企業で導入されています。)
どんな企業でも、その内部ではいくつかの「○○システム(仕組み)」が稼働していることでしょう。
しかし、わざわざ間接部門の社員を中心に人員を集め、
事務局を設けて運用させているケースはISO以外にあるでしょうか?
そのシステムを実際に運用・活用する「主体者」が自ら能動的に手掛ければよいことであり、
「マネジメントシステム」における「主体者」は、
マネジメント層(いわゆる中間管理職以上の役職者)以外にあり得ません。
まあそれはさておき、今月号は
多くの企業のISO(9001と14001が中心)の運用の
「現場の実態」が記載されており、非常に興味い内容でした。
まあ第1印象としては「どこも同じような苦労をしているんだなあ」
といったところですが、読めば読むほどに「ISO規格を認証するための審査」
というビジネスに疑問が湧いてきました。
たとえば、ISOの運用に関心のないトップマネジメントが「全部任せた」と言って
運用を事務局にほぼ丸投げしているが、
特に権限もない事務局は右往左往するばかり・・・
といったケースです。
こういった状態は本来、経営者の責任(9001や27001であれば第5章)の中の
いくつかの要求事項に抵触する不適合のはずです。
しかし、そんな不適合を指摘されたという話は実際には聞きません。
この手の不適合に審査員が気付くとしたら、
●そうとわかるような詳細な資料を受審企業側が提出した場合。
あるいは、
●審査員が、トップマネジメントや各部署の責任権限体系と
その運用「実態」を根掘り葉掘り聞いた場合
ぐらいでしょう。
前者は、受審企業がそんな資料を出すことはまず考えられませんし、
後者も、そういう観点で審査をする審査員には(私の経験上)お目にかかったことは有りません。
マネジメントシステムを実際に機能させようと思ったら、こういった部分は
非常に重要になって来るポイントだと思うのですが、
多くの審査員が関心を持つのは、記録書類がちゃんと規定通りに作られて、
ハンコが押してあるかどうか、といった枝葉の問題ばかりのようです。
それはそれで大事なのかもしれませんけど・・・
<次回に続く>