前回からだいぶ間が開いてしまいましたが、今回が最終回です。
この「何をマネジメントするのか?」シリーズを書くきっかけになった
某顧客(大手電機メーカー系SIer)は、わりと大がかりな「Web購買システム」を構築しています。
私のような下請企業の社員は、インターネット経由でそのシステムにアクセスし、
見積情報や納品情報などをそこへ入力します。
当然、入力された情報は必要に応じて各種処理がなされ、
様々な統計値が経営陣のところへ届けられるものと思われます。
しかし、入力される情報と言うのは、第2回でも述べているとおり、
往々にして「都合のよい情報」であり、「現場の実態」とはやや異なることが少なくありません。
(全てがそうだとは言いませんが。)
そんな情報でも、データとしての整合性さえ取れていれば、
少なくともシステム上は、エラーせず入力可能です。
どんな立派なシステムを構築したとしても、インプットの時点ですでに情報が歪んでいたら、
意図するアウトプットを得られるはずがありません。
ITなんてそんなもんです。
いえ、ITに限らず、ありとあらゆる「システム(=仕組み)」はそういうものだと思います。
このシステムから得られた情報を元に、顧客の経営陣が
「今期の購買の傾向は○○だった。次期は△△になるように■■の手を打とう。」
といった意思決定を、もししているのだとしたら・・・
ちょっと可哀想になります。
別のルートで、ちゃんと「マトモな情報」を得ているのならいいんですけどね。
(もし仮にそうだとしたら、それはまぎれもなく二重管理であり、
購買システムが無駄な代物であることになってしまいますが。)
そろそろまとめます。
システムの立派さは、必ずしもマネジメントの質に直結しません。
マネジメント業務を楽に、かつ確実に運用するためにITを導入するのはいいでしょう。
大企業であれば、それが大がかりなものになるのも仕方が無いでしょう。
しかし、そのシステムを通じて得られる情報だけを鵜呑みにして
「現場で実際に起きていること」に目を向けなくなったら、危険です。
経営者にとって、社内に存在する各種IT・非ITシステムは経営のツールと言えますが、
そのツールが思うように機能しているか否かを評価・検証しようと思ったら、
どのみち現場に目を向ける以外には無いのです。