アンケート調査を有意義にするには、まず調査対象をどう設定し、
いかにその調査対象だけに答えてもらうかが大切だ。
対象外の人間の回答が混じってしまっては、信頼性が劣る。
上位の概念を外しては、末端の作業は的外れで無意味なものになってしまうので、
まずは目的からしっかり固めていこう。
そもそも、なぜ顧客満足度アンケートをしなくてはいけないのか?
顧客とは満足させなければいけないものであり、
もし現状で満足させられていないとしたら、改善が必要だからだ。
だから、調査により、顧客の不満点や改善要望点を洗い出さなければならない。
では、誰にアンケートを答えてもらえばよいだろうか?
「顧客」という大きなくくりではなく、もうちょっと詳細に考えてみよう。
それを考える上で大事なのが、
「顧客を満足させられなかった場合、どういう不都合が起こり得るのか?」だ。
考えられる不都合としては、
・次の注文が来ない(リピーターになっていただけない)」
・不満をもった顧客が、友人に「あそこは駄目だ」という情報を流す
ということが考えられる。
それを回避し、「リピーターになっていただく」、「良い情報を振りまいていただく」
という状態に持っていかなくてはならない。
そのために、顧客満足度についてわざわざアンケートをするのだ。
ここではひとまず、前者について考えてみよう。
顧客が1個人ではなく、複数の人間から成る団体や組織の場合、
必ず「意志決定権者」がいるはずである。
家族連れをターゲットとしたファミリーレストランではどうか。
家族の中に、きっと「どこに食べに行くか」を決定する人間がいるはずである。
おそらく父親か母親のどちらかだろう。
そして忘れてはいけないのが、「決定権者の決定を左右する意見具申者」である。
決定をするのは親でも、親は子供の希望を聞いて決めているのかもしれない。
この場合は、子供を満足させ、「あのお店にまた行きたい!」と言わせれば
家族ごとリピーターになってくれるに違いない。
であれば、満足していただけたか否かを把握しなくてはいけないのはその子供であり、
アンケートの対象としてその子供を選定するのが妥当である。
BtoBの取引においても同じで、
「次の受注をいただくためには、誰を満足させなければいけないのか?」が重要だ。
それは発注業者を選別する「意思決定権者」だ。
現場の担当者レベルで仲良くなっても、気付かないうちに
意思決定権者を不満にさせてしまったら、次の注文は来ない。
だが、ある程度大きな企業においては、意思決定権者は部長・役員クラスの偉い人で、
現場のことはよく分かってないこともある。
(それに、そんな偉い人たちに、アンケートに直接記入してもらうことは期待できない。)
では、その偉い人たちは、現場を知らないのになぜ決定を下せるのか?
それは、現場にいる「信頼出来る部下」からの報告を元に決めているからだ。
ファミレスの例でいうところの「子供」にあたる。
そういった人にアンケートを書いてもらうには、あらかじめ仕事をしながら
「この顧客の意思決定権者は誰か?」
「決定権者から信頼されている、意見具申者は誰か?」を見抜かなければならない。
「意見具申者」を見抜くのは結構難しい。
ただ単に「現場で一番肩書きが高い人」とは限らないからだ。
顧客企業の内部における、決定権者との人間関係を見極める必要がある。
これを見抜くのは営業の仕事である。
営業がそれを分かっていなければ、「誰に対して営業しているの?」と突っ込まれてしまうからだ。
アンケートを送る以前の問題として、営業が意思決定権者や意見具申者を
満足させられなければ、最初の受注すらもらえないからだ。
しかしやはり問題はある。
顧客満足度調査を行う上で、「営業から言われた通りに調査すればいいのか?」という問題である。
業務の性質上、営業からは独立している必要もあるはずだ。
営業からの報告とは別に、調査対象を選定する基準が必要なのかもしれない。