株式会社エーワン精密 第19期定時株主総会 2009/09/26

エーワン精密とは、製造業の工場にある工作機械で使用される
「コレットチャック」なる道具を製造している企業です。
少量からのオーダー受付と短納期を武器に、市場(推定20億円)の60%強を占めています。
創業者である梅原勝彦氏(現取締役相談役)は名経営者として名高く、
創業以来高利益率を維持しています。
梅原氏の著作を読んで以来興味があった企業で、
昨秋からの不況で株価が落ち込んだのを機に株主になり、(1株だけですが)
今回初めて株主総会に参加してまいりました。
会場は地元の商工会議所会館。
ホールは約100名程の席が用意されていましたが、おそらく出席者は20名弱。
大企業でなければ、そんなもんなんですね。
(株主数は1,229名。発行済株式は15,000株。)
<気付いた点等>
・会社側の出席者は役員4名、監査役2名。その後ろにスタッフ5名。
 役員は、創業者を除き見た目40~50代。監査役の2人はおじいちゃん。
 議長は社長が務める。
・最初の、役員一同のお時儀のタイミングがバラバラ。
 揃ってた方がベター。
・開会の前に、議長(社長)より「録音してます」宣言。
・招集通知書に載っているバランスシートの、「繰越利益剰余金」は、
 株主配当を引く前の額。
 総会で配当額が承認され、それを引いた数字が本当の剰余金となる。
<質疑応答> ※メモと記憶によります。回答者は特記が無い限り全て林社長です。
Q:有価証券評価損が、経常利益と同じくらい(!)あるが、これはもう売却したのか。
A:三井住友銀行と、東京三菱UFJ銀行の株。
  まだ保有している。株価の回復を待って売却したい。
Q:来期の計画(売上高17億円)だが、上期・下期は分けて考えているのか。
A:とくに傾斜配分は考えていない。
Q:高松機械という企業も、コレットチャックを扱う企業として上場している。
  エーワン精密との違いは?
A:高松機械は工作機メーカーで、自社の機械にあうコレットチャックを製造している。
  エーワン精密はどこの機械にも合うように、短納期で作っている点で差別化している。
  [梅原相談役より]
  高松機械は旋盤メーカーで、コレットチャックには力を入れていない。
  特殊なものや短納期の物は、うちから高松機械に供給もしている。
Q:切削工具の再研磨に力を入れると昨年言っていたが、
  研磨の機械を使えば誰でも出来るのでは?
A:研ぎ方で、切れ味・耐久性が明らかに違う。エーワン精密にはそのノウハウがある。
Q:上場以来株を保有しているが、成長性が少々期待外れ。ニッチな業種だからかもしれないが。
  新工場は何のために建設したのか?
A:[梅原相談役より]
  新工場の計画は、私が社長だった9年前に、会社を違う方向へ持っていくために立てた。
  "工具の再研磨"への進出だけでなく、再研磨をするうちに
  新規開発のノウハウも分かるだろうと考えた。
  そろそろ頃合いだと判断し、新規開発のための工場としてGoサインを出した。
  一番古い工場をつぶし、8月に完成した。
Q:昨今の製造業の低迷を受けて売上高が2/3なのに、経常利益が20%を超えているのはさすが。
  有価証券評価損で消えているのが残念だが、そもそもどうして銀行の株に手を出したのか。
A:株式を購入したのではなく、金融商品を買った。
  最後に買ったのは3年前。
  株価が良ければ配当が付くが、ある額を下回ると買い取らなくてはいけないという条件。
  余資の有効活用として慎重にやったつもりだったが、予想を上回る下落が起きてしまった。
<感想>
・ノーネクタイの監査役が居眠りしているのが気になりました。
 印象は、「監査役 野崎修平」に出てくる無気力監査役そのまんま。
 (調べてみると税務署出身の社外監査役だった。)
 これでは監査報告の中身は信用出来そうにありません。
 いっそ解任動議でも出した方が良かったかな?
 
・新工場建設に、梅原相談役が「Goサインを出した」との発言が気になりました。
 著書には「相談には乗っても経営はもうやりません」と書いてありましたが、
 やはり現在も強い影響力があるようです。
・金融商品についての説明では、改めて株のリスクを思い知りました。
 説明を聞く限りでは、たしかにリスクの低そうな商品ではあるのですが・・・ 
 林社長は野村証券出身であり、リスクが分かっていなかったはずがありません。
 それでも、世界同時不況はやはり想定外だったようです。
 逆に、株式を公開する企業の側としては、株をただ株として売り出すのではなく、
 下落時に発動するなんらかの条件を付けた金融商品として売ることで、
 下落リスクを回避することも可能なのでしょうか。
 そのあたりに興味が出てきました。
・事業報告は、招集通知にも書いてある事業報告を、ただ社長が朗読するだけでした。
 少なくとも一ヶ月は前に書かれた原稿のはず。
 この一ヶ月で、加筆修正するようなことは何にも無かったのでしょうか?
 せっかく経営者と直に会える場なのだから、もうちょっと生の声が聞いてみたいと思いました。
 エーワン精密に限らず、株主総会はほぼセレモニーと化していますが、
 それで良いのでしょうか・・・

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