当シリーズ第3回の記事はまだ出来上がっていないのですが、
先に第2回(2010/08/08)の記事について補足しておきます。
「ISO9001の要求事項には、外注品不良率の基準値なんて書いていない。
ゆえに、審査員から外注品の不良率について
『何とかするように』などと言われる筋合いは無い。」
という主旨の記事を書きました。
しかし、もしかしたら私がアイソスの記事を曲解していたのかもしれません。
審査員は、一体何を指して「何とかするように」と言ったのでしょうか?
それが重要なのですが、アイソスの記事からは
それを明確に読み取ることは出来ません。
なので私は「外注品の不良率の高さ」を指しているのだと
理解したのですが、別の可能性もあることに気がつきました。
もし審査員が、
「外注品の不良率が高いことが社内で問題視されているのに、
なかなか効果的な改善策を打てずにいる。」
ことを指して「何とかするように」と言ったのであれば、
これは決して筋違いな指摘ではありません。
"マネジメントシステム"や"PDCA"といった概念は、
「課題解決のスキーム」という一面を強く持っています。
課題の存在が明らかであるにもかかわらず
ずっと改善されないままでは、"機能不全"と言われても仕方ありません。
(もっとも、中野医療器は試行錯誤をしているわけですから、
改善の姿勢すら見えない企業よりははるかに優秀です。)
審査員の中には、どこかの企業の生産現場で
品質管理業務を経験された方もいらっしゃいます。
現場を知っているのは結構なのですが、
稀に「古巣の基準」に基づいて
受審企業に注文をつけてくるケースがあるので困ります。
それはもはやISOの審査ではありません。
審査員の発言の意図がどこにあるのか、
その根拠は規格のどの条文なのか、
受審企業は常に考える必要があります。
私も自社の審査を数週間後に控えているので、
改めて規格を読み返すことで気を引き締めています。
“月刊アイソス 2010年8月号(No.153) 感想(2.5)” に0件のコメントがあります
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非国民 says:
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hiroさんでお世話になってい非国民です。
ブログ見せてもらいました。
是正措置に関することのようですね。
工業製品で不良率ゼロは存在しない。そこで、何らかの尺度を設けるわけだが、それが基準を満たしていないので是正処置は直ちにとられなければならないとのことのようですね。
非国民は悪徳国民なので、この場合、是正処置は「基準が厳しすぎたから基準を緩める」になりそうです。
なお、非国民の会社はISO9001ではなく、USO800です。
柴田進 says:
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非国民さん
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、「不良品を出さない工場」なんて世界中どこを探したってありません。
人間のやることですから。
でも、別に「厳しすぎる基準を緩和する」ことは
必ずしも悪徳ではありませんよ。
品質にしろセキュリティにしろ、厳しければ厳しいほど良いというものではありません。
仕事である以上、10のリスクを抑えるために20のコストをかけて
厳密にチェックするのは馬鹿げています。
必ず、適正な「折り合い」をつけるポイントがあるはずで、
その見極めが肝要です。
そしてその「どれぐらいが適正か」は、
市場の動向や消費者の意識などとともに時代によって変化するでしょうから、
頻繁にではないにしろ、中長期的に見直しは必要です。
私も記事を読んだだけで、実際の中野医療器の
外注部品を見たわけではないのでこれ以上は言えませんが、
コストとリスクとメリットを総合的に勘案し、
しかるべき責任者が最終判断を下せばよいのです。
そしてその判断の是非をジャッジするのは、
決して審査員ではなく、「市場」です。
審査員がチェックするのは、(口を出していいのは)
・しかるべき責任者が明確になっているか。
・その人のところ、に必要な情報が適正なタイミングで集まるようになっているか。
・下した判断の妥当性が見直されているか。
ぐらいです。
それらが出来ていないと、さすがに不適合を貰っても仕方がないかもしれません。