私の勤めているサポートセンターには、システム利用者(エンドユーザー)からのお問い合わせが入ることは滅多にありません。
基本的に、システムの運用管理や構築作業を生業としているプロのエンジニアからのお問い合わせに対応しています。
しかし、開発企業がインターネット上で公開している情報をググった方が明らかに早いようなお問い合わせも、決して少なくありません。
インターネットへ接続していないクローズドな職場にいらっしゃるお客様なのかもしれませんが、そういう職場であればこそ、エンジニア向けの専門書が取り揃えてあるはずです。
Windows のヘルプメニューにも、TechNet と同じ内容が書いてあることがあります。
ところが、そういった情報源を全く活用せずにサポートセンターにお問い合わせいただくケースもあるので、ちょっと心配になってしまいます。
自力で調べても簡単には分からない事柄だった場合は調べた時間が無駄になってしまいますので、最初からサポートセンターへ問い合わせてしまえばよい、と考えるのは合理的かもしれません。
もちろんこちらも仕事ですから、聞かれたことには答えます。
ですが、それで解決できるのは「その時自分が直面した課題や疑問に思った事柄」だけです。
そんな場当たり的な対処を繰り返すだけでは、システムを構築・運用する上で本来知っておくべき体系的な知識は決して身につきません。
するとそのシステムは、たまたまその時の担当エンジニアが気にした問題だけが解決され、気にしなかった部分に意外な落とし穴があるリスクを抱えたまま運用されていく事になります。
そういう落とし穴がある(かもしれない)というリスクを自覚している方であれば、ググるなり専門書を読むなりして体系的な知識を身につけるよう努めるでしょうし、サポートセンターへ問い合わせる頻度も少なくなるでしょう。
(結果的に、サポートセンターへは「そうでない方」からのお問い合わせが集まっているような気がします。)
そのリスクを最終的に負っているのは、エンジニア当人ではなく、あくまでもシステム利用者だということを忘れてはいけません。
私自身はシステム運用・構築の現場で働いたことがありませんが、現場のレベルというのは、あくまでも現場のエンジニアの技術力に依存するのであって、決して現場が契約しているサポートセンターの技術力に依存しているわけではないと考えています。
もしサポートの契約など無い環境で同じ問題を解決しなくてはならなくなったら、誰だって自力で調べるはずです。
むしろその方がエンジニアとしては成長できると思います。
調べても分からないこと、調べる過程で派生した新たな疑問、調べた結果の妥当性確認といったことをサポートセンターへお問い合わせいただくことは有意義だと思いますが、そういうお問い合わせはあまり多くありません。