経理・会計とISO

本屋の財務・会計コーナーに行くと、よく「経営者のための決算書の読み方」みたいな本があります。
つまり、そういう本でも読んで勉強しないと、なかなか決算書を理解できないということです。
(簿記を齧ったことのある人なら分かると思いますが、複式簿記の考え方はちょっと特殊なので。)
その一方で、「決算書は経営の役に立たない!」という内容の本も見かけます。
財務・会計コンサルタントのブログなどを見ると、その手の記事が多く見つかります。
センセーショナルな印象を受けますが、考えてみれば当然のことなんです。
税法とは、あくまで税金を取るための計算式であり、
そもそも企業活動を採点することを目的としていませんから。
その結果として作られる決算書に、企業の実態が反映されているなんて世迷い言を信じてはいけません。
よく、「決算書は企業の通信簿」と言いますが、ほぼ嘘です。
(いったい誰が言い出したんでしょうね?
 日本中の企業の業績がほぼ同じ基準で計算されるので、比較分析には役立つかもしれませんが、
 その企業自身に最適化されたものではないはずです。)
ところが、社内の経理社員や税理士までがそう信じているケースがあるため、問題になります。
経営者の感覚と乖離した決算書が出来あがるのは仕方ないし、
税金を正しく計算するのは大事なことです。
でもそこで終わってしまってはいけません。
ちゃんと経営の実態を表し、戦略立案に役立つような資料も作らねばなりません。
しかし、「税法にしたがって正しく計算をすること」だけが自分の仕事だと思っている経理社員や税理士は、
本当に経営に役立つ資料を経営者に提出しようなどと夢にも思いません。
そういう資料を作れと経営者に言われてもチンプンカンプンで、話がかみ合うことはないでしょう。
そういう”計算屋さん”は、税務署からお給料を貰ったらいいと思いますYO!
これは、情報システムを滞りなく運用することしか考えておらず、
エンドユーザーの利便性や投資効果、今後のIT投資戦略などを考えようとしない情報システム部員にもあてはまります。
つまり、「仕事のための仕事」になってしまっているんですね。
平社員ならまだそれでいいんですけど、課長部長クラスがそれではいけません。
何のための仕事なのか」をしっかり認識しないといけません。
さて本題に入りますが、まったく同じことがISOにも言えるんですね。
よく、「ISOを取って書類の量が増えた」とか、「ISOのための仕事になっている」という声を聞きますが、
別に今に始まったことではないということに気付いたのです。
同じ構図が、ISOが広まるずっと以前から、経理部を舞台に繰り返されてきていたのですね。
人間って進歩しないなぁ・・・ (溜息)
この「仕事のための仕事」というのは、とかく間接部門の社員が陥りやすい落とし穴です。
何のための仕事なのかを考えずとも、とりあえず目先の「作業」をしていれば、
仕事をした気になれますから。
(正直、私も人のことをあまり言えません。。。  社長ゴメンナサイ。)
ISOを取得しようとする企業が、「ISO推進室」や「ISO事務局」なる組織を新設する場合、
間接部門を中心に人員を集めるケースが多くは無いでしょうか。
もしその人員が「仕事のための仕事」病に罹っていたとしたら、
その時点でマネジメントシステムの形骸化は約束されたようなものです。
もちろん、そのような人員を任命した経営者に責任があることは
民明書房級に言うまでも無い。

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    昔システム業をしていた頃、
    ある会社のシステムを開発していました。
    そこでは、財務会計システムは○○○(○○○全国会で有名な)を
    使用してあったのですが、経営会議で財務会計はそんなに
    使用されてませんでした。
    財務データに+αの情報を加えた管理会計システムを取り込んで
    ありました。
    管理会計では現場の人間もピンとくる数字になっていましたので
    その会社が経営がうまくいっていました。
    間接部門と直接部門、双方がよりよい方向に進むための
    システムに携われた私は幸せ者です☆

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    >>プリンシプル店長さま
    コメント有難うございます。
    その「+α」をどうするかが難しそうですね。
    ”資金繰りをショートさせない”というような具体的な目的があれば、
    どのような情報を用意すれば良いのかは自ずと分かりますが、
    ”経営に役立たせる”という目的だと、情報の選択にはある程度経営センスが必要です。
    それに、一度選択したものがずっと有効でもないと思われます。
    数年単位で修正される中期経営計画や、その時々の景気動向によっても「経営層が欲しがる情報」は違うはずですから。
    私自身は今は会計に直接かかわる立場ではありませんが、
    ISOの次に興味がある分野です。
    ちなみに私の会社も○○○です。

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