そもそも日本人のほとんどは「ターニケット」なんて言葉すらご存じないかと思います。
漢字で書くと「止血帯」。
要するに、負傷者の出血を止めるために縛り上げる道具です。
2021/11/06、野田力氏のツイッター(@NODA_Liki)で、成田空港のターニケットが紹介されていました。
AED と同じ箱に収納されています。
※CAT:コンバット・アプリケーション・ターニケット(戦術止血帯)
関西空港では、2019年からターニケット以外の資材もまとめた「止血キット」を導入(日本国内の空港では初)してるそうです。
電車内で刃物による傷害事件が相次いでいる昨今、公共の場所に救急救命の道具が増えること自体は歓迎します。
しかし、ターニケットについては少々注意が必要です。
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野田氏のツイートを見る限り、以下のような注意点については触れられていないのですが・・・
1、ターニケットを正しく使用するには、訓練が必要です。 空港職員は訓練を受けているのかもしれません。 2018年に、厚生労働省医政局医事課長が示した「医師法第 17 条の解釈」をご覧ください。 2、そもそも、傷口を直接抑える「直接圧迫止血」の方が止血手段としては優先順位が高いはず。 直接圧迫止血では止まらないような大出血の場合(例:四肢の動脈からの出血)に、ターニケットが役立ちます。
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なお、直接圧迫止血のための資材としては、「止血剤が染み込ませてあるガーゼや包帯」などがあります。
興味のある方は「キトサン ガーゼ」といったキーワードでググってみてください。
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3、ターニケットにしろ直接圧迫止血にしろ、出血者の応急手当てを行う大前提として「感染症予防のための手袋」も必要です。
これもまた、訓練を受けてない方は重要性を理解できず、有っても使わない可能性があります。
結局、「普段からちゃんと訓練を受けておくことが必要」というありきたりな(だが実践の敷居は高い)結論となるわけです。
最後に、ターニケットその他の止血法の訓練を受ける方法をご紹介しておきます。
A 陸上自衛隊に入隊する。
海自・空自のことは存じませんが、陸自では CAT を導入しています。
B 陸自の予備自衛官補を経て予備自衛官になる。
現役の自衛隊員と同じく、CAT の使用法を訓練します。
C 民間団体のセミナーを受講する。
日本赤十字社や、TACMED(タックメダ)といった団体がセミナーを開催しています。
※ TACMED の照井理事長は、「イラストでまなぶ! 戦闘外傷救護」の著者です。
余談:イギリス軍の実話を基にした戦争映画「アフガン・レポート」では、CAT が多数使用されます。
CAT の使い方を理解したうえで観ると、理解せずに観るよりも味わい深くなると思います。