おまたせしました。2010年01月23日の記事の続編です。
ISO9001:2008の「7.3 設計・開発」では、行った(行っている)設計・開発に対し、
「7.3.4 レビュー」、「7.3.5 検証」、「7.3.6 妥当性確認」といったことを、
それぞれ異なった目的をもって行うよう求めています。
これらの言葉だけを見ても、いったい何が違うのかよく分からないので、
いくつかの観点から3つを比較し、一つ一つ解きほぐしていきます。
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<観点1> 「いつやるの?」
◆レビュー :規格には、「設計・開発の適切な段階」とあります。
つまり、設計・開発工程の、初期でも途中でも仕上げ段階でもいいわけですね。
ただ、設計・開発が終わった後ではないと思われます。
なお、英語の原文には「evaluate」という言葉が使われており、
「評価する」と訳されていますが、これには「査定する・見積る」というニュアンスもあります。
◆ 検 証 :規格には、「設計・開発からのアウトプットが~~を確実にするために~~」とあります。
当然、その時点でアウトプットが出来上がってないと実施できません。
つまり、設計・開発が終わった直後(作り始める直前)あたりが適切と思われます。
なお、英語の原文にも、「~ outputs have met ~」と「過去完了形」で記載されています。
やはり、アウトプットが存在する以前(設計・開発の最中)には実施できないと読み取れます。
また、「検証」という言葉は原文では「verificaion」ですが、
これには「立証」というニュアンスもあります。
アウトプットが存在しない時点では、立証のしようがありません。
◆妥当性確認:規格には、「実行可能な場合にはいつでも、製品の引き渡し又は提供の前に」とあります。
確認の対象は、「結果として得られる製品」です。
つまり、設計・開発工程が終わった後であることは間違いなく、
さらに製造工程も経て、製品がほとんど出来上がっている段階が適切と思われます。
製造現場の職人さんは図面通りにモノを造るのが仕事ですが、決してロボットではありません。
図面にささいな間違いがあって、「このまま作るとちょっと引っ掛かる」ことに気付けば、
その部分を自分の判断でチョチョイノチョイと削ってしまうこともあります。
(こうした修正行為は"現合"などと呼ばれます。)
かくして、「設計・開発には問題があったが、出来上がった製品には問題が無い」
ということにないます。
そういった「現場の判断による修正」が設計部にちゃんと共有されなければ、
設計部の人間はいつまでたっても同じ間違いを(間違いだと気付かないまま)繰り返し、
現場の「修正の手間」も無くならないでしょう。
(↑無ければ無いに越したことはない、無駄な手間です。)
仕様書と図面だけ見ていても、「その設計が本当に正しかったか否か」は
決して十分には分からないのです。
規格は、「必ず現物に目を向けましょうね」と言いたいのだと思います。
これはトヨタの「三現主義」にも通じる考え方だと、勝手に解釈しています。
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次回は、「何をどうやって確認するのか?」という観点から、3つを比較したいと思います。