文書の意味を見直そう <1>  「マニュアル」後篇

前回(中篇)では、品質マニュアルを一番活用するのは経営層である、と書きましたが、
それに劣らず、中間管理職層にとっても重要です。
特に、「プロセス間の相互関係」の部分がです。
実はそれこそが、企業という活動体の実態であると私は考えています。
一般的に、企業の構成というと「部署」がツリー上に並んでいる「組織図」を
思い浮かべることでしょう。
しかし、「部署」とは、「同職種のまとまり」でしかありません。
そしてそのツリー図とは、権限構造を表してはいるでしょうが、
それは企業の一面でしかありません。
企業の実態とは、その企業が営んでいる事業の在り様のことです。
そしてその構造を表すものこそが、「プロセス間の相互関係」だと考えています。
「プロセス間の相互関係」を表したものを見ることで、
「各プロセスの業務が、その企業の事業活動全体の中で果たす役割」を
正確に、簡単に認識出来るようになると、中間管理職層にとっても、
経営層にとっても便利ではないでしょうか。
偏狭なセクショナリズムに陥ることも無くなると思います。
もちろん、現場の一般社員にとっても意味のある情報です。
さて、そこで挙げられる「プロセス」には、どんなものがあるでしょうか。
「営業プロセス」「購買プロセス」「設計プロセス」「販売プロセス」
などがあると思いますが、
品質マニュアルに「経営者にとっての品質管理の手順書」という意味を持たせるならば、
ここに「マネジメントプロセス」が必要です。
元々、マネジメントシステムというのは、「現場の管理」と「それに対する管理」
という二層のマネジメントから成っています。
(これらが、規格の条文においては特に区別されずに記述されていることが、
 ISOを分かりにくくしていると思います。)
「プロセス間の相互関係」に盛り込むべき「マネジメントプロセス」とは、後者を指しています。
前者は中間管理職の仕事だとして、後者は経営層の仕事でしょうから。
これにより、QMSの中における、経営層の位置づけを明確に出来ます。
最後にもう一つ。
「品質方針」も、品質マニュアルに盛り込んではいかがでしょうか。
品質方針については、次回「品質とは何か。その方針とは何か。」について詳述します。
(品質目標をあえて盛り込まない理由も書きます。)
社内で役に立たせることを目的とし、
自社のQMSの在り様を社内の各層向けに示す文書。
量にもよるかもしれませんが、簡潔にまとめられたなら
ポスターにして社内に常時掲示しておくといいですね。

○山さんって・・・  誰?

先ほど帰宅すると、なんと郵便受けに「ねんきん特別便」が!
そんな歳じゃないはずですが・・・
よく見ると、住所は合ってますが名前が違う。
(最初の一文字だけ同じですが。)
きっと前の住人が転居の手続きをしていなかったのでしょう。
さもなくば、社保事務所の手続きミスか・・・
これって、かなり重大な個人情報の漏えいなのでは?
開封してないので詳しい内容は知りませんが、
センシティブ(機微)な個人情報に該当するはずです。
親展とは書いてありますが、書留にした方がいいのでは・・・
(それだけで何憶円もかかりますが。)
この手の情報漏えいは、日々日本中で起こっているのかもしれません。
転居の手続きはちゃんとしようと誓う柴田なのでした。
(もちろんちゃんと返送いたします。)

文書の意味を見直そう <1>  「マニュアル」中篇

前回の続きです。
品質マニュアルという、「自社のQMSの在り様」を定義するものがあることで、
直接のメリットを一番享受する、社内の人間とは誰でしょうか?
それは、経営層(トップマネジメント)だと思います。
なぜなら、QMSを構築し、修繕し、活用してゆく主体は、経営層のはずだからです。
("マネジメントシステム"って言うぐらいですから。)
品質マニュアルを、経営層が品質管理においてすべきことを纏めた
「経営の手順書:品質管理編」という位置づけにしてみてはいかがでしょう。
(もちろん、QMSの有効性をチェックし、品質マニュアル自体を
 改訂してゆくことまでが経営層の仕事です。)
経営層にとっての仕事である「経営」という業務自体は多岐にわたる内容を含んでおり、
その中の一分野である「品質管理」についての手順書です。
そういう風に考えてみると、
「審査の時にだけ書庫から引っ張り出されてくる、審査員向けの説明資料」
とは違った品質マニュアルが出来るのではないでしょうか。
                                    ・・・・まだつづきます。