某テレビ番組で、「未来のテクノロジー」に関する特集をやっていました。
「将来はこんな技術が実用化され、自動車交通はこう変わる」というような内容です。
それを見ていて感じた違和感が今日のテーマです。
一つ一つはすごい技術で、現代社会が抱える各種交通問題を
見事に解決・改善する青写真が紹介されていたのですが、
なんかちょっと引っかかったんですね。
そんな高度な技術が実現するぐらいだったら、
世の中の他の技術も大きく進歩しているはずです。
であれば、根本的な交通システム自体も変化しているかもしれません。
「エンジンとタイヤの付いた自動車で、舗装された道路を走り、
信号によってコントロールされる。」
という現代のスタイルが過去のものとなり、
解決すべき問題そのものが無くなっている可能性もあるわけです。
しかし少なくともその番組からは、そういう視点は感じられませんでした。
フォード社の創業者ヘンリー・フォードは
「もし『何が欲しいか』などとお客さんに尋ねていたら、
『もっと速い馬』という答えしか返ってこなかっただろう。」
という言葉を残しています。
今目に見えている個別の問題点を、
個別の技術を以って解決しようとするのがソリューション。
誰も目にしたことが無い、新しい世界観・価値観を
創造するのがイノベーション。
(当然そこには、新しい問題もあることでしょう。)
せっかく現実の制約を忘れて未来に思いを馳せるのであれば、
「現代の延長」ではない「新しい世界」を提案する番組に
してほしかったな、と思いました。