「論点の掏り替え」に騙されてはいけない。

Facebook で肯定的に紹介されていたURLがあるのですが、私はそれを読んで違和感を覚えました。

なぜそう感じるのかじっくり考えてみたところ、質問に対して真っ直ぐ答えずに、論点を掏り替えて相手を煙に巻くような回答をしているからだとわかりました。

 

 

まずはこちらのURLをご覧ください。

この「Ask.fm」というサイトは、「Yahoo!知恵袋」に類するQ&Aサイトのようです。

 

 

私が違和感を覚えたのは、本旨の部分ではなく、余談として紹介されている家庭教師のエピソードです。

(本旨の部分に関しては、特に異論はありません。)

「数学を勉強することが何の役に立つのか」という生徒の質問に対して、「君が役立てようと思えば、武器になる。」と回答しています。

これは一見良い事を言っているようで、実際には論点を掏り替えて誤魔化しているだけです。

 

 

世の中には、「⚪︎⚪︎学」と名のつく学問分野が無数にあります。

学習する本人が「役立てよう」という気になれば、数学に限らず、どんな学問だって何らかの形できっと役立てられるはずです。

なので、日本全国の中高生に必ず数学を学ばせる理由にならず、質問に対して真っ直ぐ答えたことにならないのです。

(もし生徒が「俺は⚪︎⚪︎学を学んで役立てようと思っているから、数学はやらない」などと言い出したら、どうするつもりだったのでしょうか。)

 

 

中学・高校の必修科目として「数学」を採用しているのは、学校の先生でもなければ、教育委員会でもなく、文部科学省です。

文部科学省に「数学を学んで、こういうことに役立たせて欲しい」という明確な意図があるからこそ、採用されているのです。

だから、それを調べて回答すればよいだけのことです。

 

 

そういったことは、「学習指導要領」にちゃんと書いてあります。

文部科学省のWEBサイトで公開されているので、興味のある方は下記のリンク先をご参照ください。

学習指導要領等(ポイント、本文、解説等)(平成20年3月・平成21年3月)

 

 

中学・高校に共通する数学科の目標として「事象を数理的に考察する能力を養う」といったことが書かれています。

ざっくり言えば、「論理的思考力を訓練する一環」だということです。

決して、ピタゴラスの定理や二次方程式の解法を丸暗記すること自体に意味があるわけではありません。

 

 

現代の日本を支えている科学技術議会制民主主義も、国民一人一人に論理的思考力が備わっていなくては成り立たちません。

「なんとなく良い事を言っているようで実は論点を掏り替えている言説」に騙されないためにも、必要な力です。