” システムで予約済み ” パーティション <1>

まっさらなハードディスクにWindows OSをインストールすると、通常はCドライブが作成され、そこにOSが入ります。インストールのウィザードにおいて特段何もしなければ、Cドライブとは別にデータ用の領域が作成されるということはありません。

ところがWindows Server 2008 R2 やWindows 7 の場合、Cドライブと一緒に、それもHDDの一番先頭に「システムで予約済み」というパーティションが作成されます。容量は100MBしかありません。

このパーティションにはドライブ文字が割り当てられていないため、OSインストール後に[スタート]メニューから[コンピューター]を開いても、Cドライブしか見えません。しかし、「ディスクの管理」画面を開くと、Cドライブより左(先頭)側にこのパーティションが在ることとが分かります。あるいは、”diskpart“コマンドで”list volume“を実行することでも表示されます。

いったいこのパーティションは何なのでしょうか? 無いとどうなるのでしょうか?

 

 

まずは中身を見てみましょう。「ディスクの管理」画面で右クリックしてやればドライブ文字を割り当てることが出来るので、適当に何か割り当ててやればエクスプローラーで開くことができます。一応ここではFドライブとします。

普通に見ても空っぽなのですが、エクスプローラーの「フォルダー オプション」で「保護されたオペレーティング システム ファイルを表示しない(推奨)」を無効化することで中身が表示されます。するとなにやらOSのブートに関するフォルダやファイルがあります。というか、それしかありません。

Fドライブ直下にあったのは、

・Boot  (フォルダ)

・System Volume Infomation  (フォルダ)

・bootmgr  (ファイル)

・BOOTSECT.BAK  (ファイル)

の4つだけでした。(”dir F: /s /A”コマンドを使えば、Bootフォルダの中身まで表示されます。)

このBootフォルダの直下に在るBCDというファイル(ブート構成データ)は、OSをブートする為に非常に重要です。これが壊れるとブート出来なくなるそうです。

こちら↓のサイトでいろいろ興味深い実験をしています。

◆ win7 システムの修復

(http://ftlabo.sakura.ne.jp/win/w7-system-repair/w7-system-repair.shtml)

 

その他、マイクロソフトのサイトにも解説が載っています。

◆ ブート構成データ エディタに関してよく寄せられる質問

(http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc721886(v=ws.10).aspx)

この↑サイトを見ると分かりますが、BCDによるブートの制御自体は、Windows Server 2008 やWindows Vistaの段階ですでに採用されています。しかし、それらのOSではCドライブ内に存在しました。ではどうして、Windows Server 2008 R2 やWindows 7 では独立したパーティションが作られるようになったのでしょうか?

 

 

手がかりとなりそうな情報が、同じくマイクロソフトのサイトにありました。

◆ ヒント: 不可解な小さなパーティションを理解して削除する

(http://technet.microsoft.com/ja-JP/windows/Win7_Tips65)

◆ ハード ディスクを BitLocker ドライブ暗号化用にセットアップする

(http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows-vista/set-up-your-hard-disk-for-bitlocker-drive-encryption)

 

 

どうやら、「BitLocker」という暗号化機能のためのようです。BitLocker機能自体はWindows Server 2008 やWindows Vistaの段階ですでにあったのですが、OSが存在するCドライブ自体を暗号化したい場合には、「OS起動用の領域」を手動で切り分ける必要がありました。なぜなら、BIOSは暗号化されたCドライブを直接認識出来ないからです。

それを最初から独立させておいたのが、Windows Server 2008 R2 やWindows 7における「システムで予約済み」というパーティションなのです。

 

つづく