第18回防衛大学校教授による現代の安全保障講座 (前編)

主催:全国防衛協会連合会
日時:2011年11月28日
場所:グランドヒル市ヶ谷
表題のセミナーに行ってきました。
最近は多くの大学が一般市民に向けて公開講座を開設しているので、
防衛大も似たようなことをやっていないだろうか?と考え、
ググってみたらこちら↓のページがヒット。
http://www.mod.go.jp/nda/obaradai/koukai/index.html
日曜の夜に調べたら翌日の開催だったので焦りましたが
とくに予約は必要なく、料金も只なので参加しました。
こういう講座は、出来れば土日に開催していただきたいものです。
私以外の聴衆は、ほぼ全員現役引退後とおぼしき高齢の方ばかりでした。
(おそらく自衛隊・防衛産業関係者が中心です。)
防衛について「広く国民に認識を深めていただく」という趣旨を
掲げているのであれば、運営や広報に工夫の余地があります。
肝心の中身はというと、少々期待外れでした。
しかしTVやネットではあまり触れられない情報を
少しは聞けたので、まあ良しとします。
<1>戦闘車両の世紀 -技術動向と地上ロボットの真価-
戦車・装甲車の開発史、各国の主力戦車とその設計哲学の紹介、
そして戦車を構成する各種装置の解説が中心で、
はっきり言ってつまらない講演でした。
サスペンションの構造など、技術的でマニアックな情報と、
Wikipediaあたりにも書いてありそうな一般的な情報という
両極端な内容をほぼそのまま紹介するだけだったからです。
もっとも、一部興味深い情報もありました。
飛んでくる対戦車ミサイルをレーダーで察知し、
散弾を発射することで数メートルの距離で迎撃する
アクティブ防御システム」という装備があるのですが、
イスラエルの「TOROPHY」というシステムが、実戦での使用に成功したそうです。
兵器開発は「矛」の方が「盾」に先行するものなんだそうですが、
やっと、戦車運用上の鬼門であった
「敵歩兵が一人で携行可能な対戦車ロケット」に対する
有効な「盾」が実用化したようです。
これまでは、「対戦車兵器を持った敵歩兵の待ち伏せ」に備えるには
歩兵を随伴させて互いの欠点を埋め合う「歩戦共同」思想が主流でしたが、
今後は流れが変わるかもしれません。
また、今後の開発上の課題として、「無人のロボット車両」があります。
東日本大震災直後の原発内の調査に一番乗りしたのは、
アフガンやイラクでも実戦投入されている、米iRobot社の「Pacbo」でした。
やはりこういう技術は自国で賄えるようにしたいものです。
日本の科学は世界一チイイイイ!
って言いたいじゃないですか。
もっとも、建設機械の無人化・遠隔操作については、
雲仙普賢岳の噴火以来、国内で20年以上開発が進められており、
原発内の瓦礫除去にも活躍したそうです。
今後は、防衛用途のロボットに求められる
コンセプト及び運用構想の確立が急がれます。
<続く>