業務としての内部監査とは? <中編3>

2010年11月7日の、前回記事の続きです。
[C]監査対象となるプロセスや領域の、状態や重要性と過去の監査結果を鑑みて監査計画を立てる。
必ずしも、組織内の全てのプロセスや領域について
一律一様の内部監査をする必要は無いわけです。
次項Dとも共通することですが、
前回の監査で問題だらけだったところは重点的にやるべきですし、
しばらく問題らしい問題がでていないところはスキップしても良いでしょう。
時間も人員数も、企業内のリソースは有限です。
であれば、重点監査対象とそうでないところの差があって当然です。
そういう視点を失ったら、セレモニー化の第一歩と言ってよいでしょう。
[D]監査の基準、範囲、頻度、方法を規定する。
「そんなことまで決めないといけないのか・・・」と捉えてはいけません。
「こんな大事な事を、自由に決めてもいいんだ!」と考えてください。
特に重要なプロセスであれば、そこだけ頻繁かつ詳細にやっても良いわけですし、
逆に除外されるところがあっても良いわけです。
[E]監査員の選定と監査の実施においては、客観性と公平性を確保する。
他項D、Gにおいて、監査の方法と手順が規定されているので、
それに従って監査を行うことで、自然とクリア出来るはずです。
明らかに主観的で不公平な内部監査であれば問題ですが、
そうでさえなければ、あまり深く考える必要も無いでしょう。
「客観性や公平性を測定し、基準値をクリアしているかを判断する」なんてことは、
審査員にだって不可能なことですから。
(そもそもそんな基準は規格に書いてありません。)
一定の方法から逸脱していなければそれでよし、
ということにしておかないと、何も出来なくなってしまいます。
ただ、その基準や方法自体にも、時には見直しが必要です。
内部監査というプロセス自体を監査対象とするのも一つの方法です。
[F]監査員は、自分の仕事を監査してはいけない。
誤解されていることが多いと感じるのですが、
自分の所属部署であれば監査しても大丈夫です。
禁じられているのは、あくまで「自分の仕事」です。
全く違う仕事をしている他部署を監査することは
監査員にとって非常に勉強にはなるものの、
ある程度回数をこなさないと深い部分までは見えないというデメリットもあります。
そういう意味では、同じ仕事をしている相手を監査することにも、メリットはあります。
[G]監査の手順(計画・実施・記録・報告)は文書化する。
これは必ずしも、
「共通のチェックリストを用いて」、
所定の計画書や記録用紙を埋める」ことが求められているのではありません。
それらは、この要求事項を満たすための一つの手段にすぎません。
計画の立て方、実施における注意点、記録のポイント、報告のポイント
といった事柄が押さえてあれば十分です。
次回からはいよいよ後編です。これまでの規格解釈を踏まえて、
「こんなスタイルの内部監査でも、規格の要求に応えつつ、
 組織の成長に役立てることは可能なはずだ。」
ということを具体的に書いていきます。
(あくまでも思考実験の産物ですが。)
<続く>